雨に恋した華
「お前、どこまで可愛いの?」


「え?」


そう言った虹ちゃんが、あたしをもう一度抱き寄せた。


「そんな顔見たら、バイトなんて行きたくなくなるっつーの……」


彼は耳元で囁くと、あたしの体を強く抱き締めた。


力強い抱擁と甘い言葉に、頭がクラクラする。


夏って、こんなに甘い季節だったっけ……?


頭の片隅でそんな事を考えていると、体を離した虹ちゃんがまた優しいキスをしてくれた。


彼と交わしたキスは、甘い夏の味がした。


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