雨に恋した華
虹ちゃんは、膨らませた浮輪をあたしに渡した。


「紫は小さいから、これがないと溺れるだろ〜?」


「酷いっ!!あたしだって、ちょっとくらいなら泳げるもん!」


楽しそうに笑っていた彼に、一生懸命強がって反論してみたけど…


浮輪が無いと不安だったあたしは、からかわれながらも嬉しさを感じていた。


「ほら、行こ」


優しく笑った虹ちゃんは、あたしに浮輪を被せて頭を優しく撫でた。


唇を尖らせながらも頷いて、彼と手を繋いで海に入った。


< 300 / 461 >

この作品をシェア

pagetop