雨に恋した華
「虹ちゃん!」


「ちょうど良かった。今、お前のクラスに行こうとしてたんだ」


そう言った虹ちゃんが、あたしを見ながら優しく笑った。


「可愛いな」


あたしは、自分が身に纏っている黒地にピンクの桜柄の浴衣を見て、ニッコリと微笑んだ。


「この浴衣ね、今年の夏に買ったんだよ!」


虹ちゃんは、少しだけ得意気な表情で話すあたしを見ながらクスッと笑った。


「俺は、浴衣じゃなくて紫が可愛いって言ったんだけど……。まぁ、その浴衣も可愛いけどさ」


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