雨に恋した華
「自分の好きな人が自分の親友を好きだなんて、絶対に信じたくなかったのに……。あんな場面見ちゃったら、どうしようもないよね……」


切なそうに眉を寄せている千晶が、小さなため息をついた。


「『健一の好きな人が紫じゃなかったら良かったのに』って、何度も思った……。『どうして紫なの?』って……。でもね……」


そこまで言った彼女は、切なげな表情のまま笑みを見せた。


「やっぱり、健一の好きな人が紫で良かったのかもしれない……って思ったの……」


「え……?」


< 391 / 461 >

この作品をシェア

pagetop