雨に恋した華
「嫌な女だったら納得出来ないけど、紫だったら仕方ないよ。だって紫は可愛いし、何よりもあたしの大好きな親友なんだもん!」


誇らしげな表情を見せていた千晶が、満面に笑みを浮かべた。


「それにあたしが男だったら、絶対に紫に惚れてるしね♪」


彼女は悪戯っぽく笑って、そう言ってくれたけど…


今までに、一体どれくらいの傷や痛みを抱えて来たんだろう…。


何も知らずにいた自分の事が、すごく恨めしく思える。


必死で堪えていた涙が頬を伝って、静かに零れ落ちた。


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