雨に恋した華
「もう〜!何で紫が泣くの〜?ほら、泣かないでよ!」


そう言った千晶の瞳にも、涙が溢れていた。


「あたしは健一の事が好きだけど、紫の事もすっごく大切なのっ!!たったそれだけの事なんだよ?」


泣いているあたしを宥めるように、彼女がニッコリと微笑む。


「ごめっ……っ!」


「謝らないでよ……。別に、誰かが悪い訳じゃないんだよ?健一の好きな人がたまたま紫だった、ってだけの事なんだからさ……」


千晶は、あたしの背中を優しく撫でてくれた。


< 393 / 461 >

この作品をシェア

pagetop