雨に恋した華
やっとの事でアパートの前に着いたあたしは、息を整えてから階段を上がった。


インターホンを押す手が震えて、目の前のボタンが中々押せない。


頑張るって、決めたよね……?


自分自身にゆっくりと問い掛けた後、一思いにインターホンを押した。


同時に軽快な音が鳴ったけど、いくら待っても虹ちゃんは出て来ない。


駐車場に車があったから、彼は家にいると思っていたのに…。


仕方なく玄関の前に腰を下ろして、寒さから身を守るように膝を抱えて座った。


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