雨に恋した華
そっと吐いた息が宙を舞う。


あたしは何度も息を吐きながら、虹ちゃんに告白した日の事を思い出していた。


雨が降っていたあの日も、彼の帰りをここで待っていた。


あの時と似たような状況に遭遇するなんて、思ってもみなかった。


あれから季節は移り変わって、もうすぐ冬を迎えようとしているけど…


あたしの気持ちは今も色褪せる事なんか無くて、ずっと虹ちゃんだけを想っている。


あたしが紫陽花なら、彼は雨だと思っていた。


だけど、本当は…。


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