雨に恋した華
「紫……?」


ボーッとしていたあたしを呼ぶ声に気付いて、ハッと顔を上げて立ち上がった。


「虹ちゃん……」


あたしの目の前には、コンビニの袋を手にした虹ちゃんが立っていた。


「お前、ここで何してんの?」


彼は、あたしの目を見ずに冷たく訊いた。


虹ちゃんの態度に悲しさを感じて、泣いてしまいそうになる。


だけど…


あたしは唇をギュッと噛み締め、虹ちゃんの瞳を真っ直ぐ見つめた。


そして、彼に笑顔を向けた。


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