雨に恋した華
「別に……。ただのついでだよ」


言い方はぶっきらぼうだけど、要するにもう一本はあたしにくれるらしい。


「ふ〜ん……。ありがと」


別に奢って貰う理由は無いけど、とりあえず健一を見ながらお礼を言った。


「てか、アンタ濡れてない?何やったの?」


千晶が訊くと、彼は少しだけ濡れた髪を軽く掻き上げながら口を開いた。


「外で遊んでたら、雨が降って来たんだよ……」


「嘘っ!?」


健一の言葉を聞いて、慌てて窓の外に視線を遣った。


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