雨に恋した華
本当は色々言うつもりだったけど、健一の話を聞いて何も言えなくなった。


誰だって、簡単に告白出来る訳じゃない。


好きな人に『好き』だと言う事がどれ程難しい事なのか、よくわかっているつもり。


だからこそ、あたしが用意して来た在(ア)り来(キタ)りな言葉なんて、健一に言っちゃいけないと思った。


だって…


健一がどんな気持ちであんな風に言ったのか、あたしには理解出来ないから…。


黙り込んでいたあたしは、彼に小さな笑みを向けて口を開いた。


< 432 / 461 >

この作品をシェア

pagetop