雨に恋した華
「あっ!おかえりなさい……」


言いながら恥ずかしくなって、語尾が小さくなっていった。


それを聞き逃さなかったらしい虹ちゃんは、いつもみたいに悪戯な笑みを浮かべる。


「エプロン姿、可愛い」


何だか照れ臭くて、言葉に詰まる。


「イイ匂い!」


そんなあたしを余所に、虹ちゃんは鍋の蓋を開けて中を覗き込んだ。


「俺、昼から何も食ってなくて腹減ってるんだけど、もう出来てる?」


そう訊いた彼に、満面の笑みで大きく頷いた。


< 436 / 461 >

この作品をシェア

pagetop