雨に恋した華
健一の言う通り、窓の外にはどんよりと曇った空が広がっていて、雨が降っている。


降り始めたばかりなのか、まだ小雨だったけど…


遠くの方の空まで灰色の雲に覆われているから、これから本降りになるんだろうって思った。


嬉しいっ……!


薄暗い空が広がっているのに、見ているだけで心が弾む。


口元が緩んでいくのを感じながら、千晶を見た。


その瞬間…


「お前、何笑ってんの?」


健一が眉を寄せ、怪訝な顔をしながら訊いた。


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