雨に恋した華
あたしの反応が予想外だったのか、虹ちゃんは何も言わずに黙り込んだ。


それを気まずい沈黙だと感じてしまうのは、あたしの緊張がピークに達してしまったからなのかもしれない。


祈るような気持ちで虹ちゃんの言葉を待っていると、彼はあたしの頭を優しく撫でた。


ゆっくりと顔を上げると、虹ちゃんが悩ましげに微笑んでいた。


「そうして欲しいのは山々だけど、そういう訳にもいかないだろ?門限もあるんだから、そろそろ帰らないと……」


そして、彼は諭すように静かに言った。


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