雨に恋した華
「大丈夫だもん……」


「え?」


「今日は帰らない、ってママに言って来たから……」


小さく告げると、虹ちゃんが目を見開いた。


「……本当に?」


「うん……」


「紫はそれでイイのか?」


虹ちゃんは、少しだけ切なそうな表情であたしを真っ直ぐ見つめながら、控えめに訊いた。


“彼氏”じゃなくて“男の人”の顔をした彼に、ドキドキが止まらなくなる。


それでも覚悟を決めたあたしは、ギュッと目を閉じてコクリと頷いた。


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