雨に恋した華
「虹ちゃん、上がったよ……」


緊張を隠しながら部屋に行くと、ベッドで雑誌を読んでいた虹ちゃんが視線を向けた。


「ブカブカだな」


あたしの体に合っていないスウェットを見た彼は、顔をクシャッと崩すように笑った。


「だって……」


「髪、乾かしてやるよ」


虹ちゃんは手招きをすると、あたしをベッドの下に座らせた。


あたしを包み込むように髪を乾かす彼の手は、すごく優しくて心地好い。


あたしは、ドキドキしながら髪が乾くのを待った。


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