雨に恋した華
「別に」


せっかく、あたしが平静を装って答えたのに…


「雨が降ったから、王子様に会えるんだよね♪」


目の前にいた千晶が、すかさずバラしてしまった。


「ちょっと、千晶!」


「イイじゃん♪それより、雨が降って良かったね!」


あたしが眉をしかめると、千晶はニッと笑った。


いつもなら、きっとここで怒っていたと思う。


だけど…


久しぶりの雨で嬉しい気持ちになっていたあたしは、それ以上は千晶を責めなかった。


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