雨に恋した華
「紫、怒った……?」


健一が立ち去った後、千晶が様子を窺うようにあたしの顔を覗き込んだ。


「ちょっとね……」


「ごめん……」


あたしが答えると、千晶は少しだけシュンとしながら呟いた。


普段は冷静な彼女だけど、こんな風になる所も可愛いと思う。


「でも今日は許す。今、機嫌イイから♪」


あたしは、そう話しながら笑顔を向けた。


「ありがとう。王子様に会えるとイイね♪」


すると、千晶も安堵の笑みを見せた。


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