雨に恋した華
あの日、彼はずっと本を読んでいた。


時折、窓の外を眺めては、また本に視線を落とす。


あたしは彼に気付かれないように、そんな彼の姿をずっと見ていた。


最初のうちは、彼が必要以上に外を見ている事が気になっていたけど…


それから数時間後、ようやくある事に気付いた。


雨を気にしてる……?


初めて彼を見た日も、二度目に会った時も、雨が降っていた。


あたしのそんな不確かな思いを確信に変えたのは、三度目に彼に会えた時だった。


< 59 / 461 >

この作品をシェア

pagetop