雨に恋した華
あたしの視線の先には、お手製のてるてる坊主。


美術が苦手なわりには結構可愛らしく出来ていると思うし、あたしにしては上出来。


雨が降りますように……


そんな渾身(コンシン)の思いを込めて作った物を、わざわざ逆さまに吊してあるのに…


このてるてる坊主は、まだ一度も役目を果たしていない。


「もう……。ちょっとくらい頑張ってよね……」


逆さまのてるてる坊主に不満を呟いたあたしは、部屋に大きなため息を一つ落としてから、リビングに降りた。


< 6 / 461 >

この作品をシェア

pagetop