雨に恋した華
「コウキさん……?」


「うん。“虹”と希望の“希”で、“コウキ”って読むんだ」


あたしが訊き返すと、彼は丁寧に答えてくれた。


名前を教えて貰えた事がすごく嬉しくて、自然と満面の笑みが零れる。


「そっちは?」


「あっ、ごめんなさい……」


あたしは、彼の言葉で自分が名乗っていなかった事に気付いて、慌てて謝った。


「紫です。“紫(ムラサキ)”って書いて、“ユカリ”って読みます」


それから、笑顔で自分の名前を付け足した。


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