雨に恋した華
え……?


彼の言葉に、次の言葉を発するのも忘れるくらい驚いていた。


あたしの事、知ってたの……?


あたしは、いつも彼の事を見ていた。


だけど…


彼はあたしの事なんて知らないと思っていたから、すごく嬉しくなった。


自然と笑みが零れる。


あまりにも嬉しくて、さっき感じていた悲しい気持ちなんて、とっくに忘れてしまっていた。


「……紫ちゃん?」


彼はしばらく黙っていたあたしの様子を窺うように、首を小さく傾げた。


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