雨に恋した華
あたしがいつも一人なのは、あたしの目当てがこのカフェじゃなくて彼だったから…。


だけど、そんな事は彼には言えない。


「ここ、落ち着くから……」


あたしは、出来るだけ平静を装って笑った。


「そっか。確かに落ち着くよね」


彼は瞳を緩めて、柔らかい笑顔で頷いた。


「そういえば、戻らなくても大丈夫?紫ちゃんの友達、待ってるんじゃない?」


「あっ……!」


彼に訊かれて、やっと千晶を待たせたままだった事を思い出した。


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