雨に恋した華
あたしは、彼がお互いの番号とアドレスを交換しているんだと、すぐに確信した。


だけど…


まだ頭の中をきちんと整理出来ていなかったせいで、嬉しいと感じる段階まで辿り着けていない。


そんなあたしを余所に、彼は携帯同士を向き合わせて赤外線通信をした後、二つの携帯の画面を交互に見た。


「俺の番号とアドレス、紫ちゃんの携帯に入れておいたから。紫ちゃんの都合がイイ時がわかったら、いつでも連絡して」


程なくして笑顔でそう言った彼は、あたしの携帯を差し出した。


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