雨に恋した華
「え……?」


あたしが戸惑っていると、彼はクスッと笑った。


「さっきも言ったけど、今度お詫びに何かご馳走するから」


「でも……」


「ほら、友達が待ってるんだろ?早く戻らないと」


彼は、戸惑ったままのあたしの言葉を遮って言った後、あたしの手に携帯を乗せた。


「俺、先に戻るね。じゃあね」


「あっ、はい……」


彼の言葉に、あたしは慌ててコクコクと頷いた。


彼は優しい笑顔だけを残して、その場から立ち去った。


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