僕はその手をそっと握ることしかできなかった
絡むことのない視線の先で
「一本!」
道場にこだまする一声に、道場の空気が緩む。
中心にいる二人の剣士は、礼をして下がった。
「また私の勝ちぃ」
面の奥から聞こえた声は、高く朗らかだ。
面を外すと、可愛らしい少女の顔が現れた。
望月空撫(もちづきかなで)さん。
女子剣道部のエース。
けれど、小さい頃から剣道を習っている彼女の実力は、同学年の女子相手では太刀打ちが出来ないため、特別に男子と練習していた。
「うるせぇよ」
彼女に負けた剣士も面を取り悪態をつくのは沢田翔真(さわだしょうま)副部長。
「翔真くんは脇が甘いんだよ。フェイントにも引っ掛かるし」
道場にこだまする一声に、道場の空気が緩む。
中心にいる二人の剣士は、礼をして下がった。
「また私の勝ちぃ」
面の奥から聞こえた声は、高く朗らかだ。
面を外すと、可愛らしい少女の顔が現れた。
望月空撫(もちづきかなで)さん。
女子剣道部のエース。
けれど、小さい頃から剣道を習っている彼女の実力は、同学年の女子相手では太刀打ちが出来ないため、特別に男子と練習していた。
「うるせぇよ」
彼女に負けた剣士も面を取り悪態をつくのは沢田翔真(さわだしょうま)副部長。
「翔真くんは脇が甘いんだよ。フェイントにも引っ掛かるし」
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