僕はその手をそっと握ることしかできなかった
「バカ!何脱いでんだよ」

ドア越しからでも、布の擦れる音が聞こえた。

「何も出来ないじゃん。嘘つき」

「違う!オレは本当に何でも」

「口だけのくせに」

「違うつってんだろ!」

「じゃあ、私を好きになれって言ったらなるの!」

「空撫?」

副部長はようやく気付いたようだ。

そしてもう一人。

「空撫ちゃん」

美朝さんが空撫さんの荷物を持って立ちすくんでいた。

「大嫌い」

空撫さんがいきなりドアを開けた。

胸元が肌蹴て、紺色の下着を見てしまった。

凝視してしまった。

男の性が恨めしい。

ボクたち三人は何も言うことが出来なかった。

そしてことは大きく動いた。
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