僕はその手をそっと握ることしかできなかった
でもあの顔のまま空撫さんを見るよりはずっと良い。

試合になんてなるわけもなく、ボクはあっさりと一太刀で、負けてしまった。

「椎名くんちゃんと相手を見ないと。でも、椎名くんの小手は良い武器になると思うよ」

「ありがとうございます」

ニコニコと笑う空撫さんはすごく可愛い。

笑顔が凄く似合う。


「空撫、部活終わりは暇か?」

副部長が戻ってきた。

「うん…」

「美朝が弟の誕生日プレゼントを買いたいから一緒に選んで欲しいって。お前にも一緒に来て欲しいって」

「…良いよ」

空撫さんは自主練は?とかなんて言葉は絶対に言わない。
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