突然の出会い
「そんなことないよ、僕を探してるふうだったから」


せっかく今日は穏やかなパーティーだったのに……


「今日は子守してるって?会場でみんな言ってたわ」


「子守っていうか、今日は一緒に居るけど」


「せっかく久しぶりに会ったんだから少しくらいつきあってよ。子どもは庭で遊んでるわけだし」


どんだけ自己チューなんだよ……


「駄目だよ、一人にするなんて」


「大丈夫よ、現に楽しそうにしてるじゃない」


たしかに庭を見て遊んでいるけれど、一人にしたらまた大人に絡まれるだろう。


そんなのかわいそうだ。


「ねっ」


……しつこい。


本当にどれだけ自分本意なんだ……


これは使いたく無かったんだけど……


「今預かってるのは上月さんのお嬢さんなんだよ。何かあったら大変だろ?」


「あっ、それなら仕方ないわね。今度はつきあってよね」


「……ああ」


「じゃあまたね」


あの女、本当に権力に弱いよね。


なんであんな自信満々に俺と結婚できると思ってるんだろ……


今度こそ疲れたかも……


俺はベンチの背もたれに寄りかかって大きく息をはいた。




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