突然の出会い
すると茜ちゃんが俺の方に近づいてきた。


「おにいちゃんどうしたの?」


「うん?どうもしないよ」


笑顔をつくってこたえた。


「……うそ」


「えっ!」


「うそいっちゃだめってままいってたよ」


まさか、こんな幼い子に見破られるなんて……


思ってもみなかった。


「そうだね。嘘はよくないよね」


俺の言葉にうんとうなずくいてから話はじめた。


「ぱぱがいってた、かなしいことはがまんしなくていいって、はたち?まではこどもなんだからって」


小さいからって侮っちゃダメだね……


流石上月さんの娘さんっていうか、茜ちゃんは優しいね。


それにさとい。


「だからあかねにうそついたらだめなんだよ」


あはは。


ホントに……


「ありがとう、茜ちゃん」


「う?」


俺は今度こそ笑って茜ちゃんにお礼を言ってから頭を撫でた。


最初はびっくりしていたようだったけれど、すぐに茜ちゃんは笑った。


なんか小さな子に言われると今まで俺は気負いすぎてたのかなって思えるよ。


「おにいちゃん、げんきになった!」


俺が本当に笑った事を感じとったのか嬉しそうに見上げてきた。



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