グリンダムの王族
セシルは優雅に微笑むと、膝を折って、「初めまして。どうぞよろしくお願いいたします」と挨拶した。

クリス王子は呆然とセシルを見ていたが、隣の宰相につっつかれて我に返ったようだった。

「俺、、、いや、私はファラントの第一王子でクリスと申します。
よ、よろしくお願いします、、、」

どもりつつ挨拶をした彼の頬は、ほんのり上気していた。



―――美人だっ!

クリスのセシルへの第一印象はそれだった。

馬車の中で沈み切っていた気持ちが、早速ちょっと浮上した。
姫君の年齢は確か18歳で、自分より年上だったはずだが、
年上のような怖い印象もない。
目の前の姫君は笑顔の可愛らしい、素敵な少女だった。

その後クリス王子達は部屋に案内され、
晩餐会の前に長旅で疲れた体を休ませてもらった。

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