グリンダムの王族
第3章
婚姻
グリンダムのセシル姫が到着する予定の日、ファラント王国城では朝から慌しく人が動いていた。
侍女達は第一王子の婚約者のために用意された立派な部屋を整え、花を飾る。
厨房では夜に開かれる歓迎の宴のための準備が早くも始められている。
そんな中、グリンダムの馬車が城門を超えたという知らせが国王のもとへ届いていた。
城門をくぐり、石畳の広い道を奥へと進みながら、セシルは馬車の窓からそっと外を観察していた。
城へ続く道の両側には美しい庭がどこまでも広がり、花壇と並木で美しく飾られている。丁寧に手入れされたその庭はファラントの平和と豊かさを表しているように見えた。
やがて道の先に、ファラント王城の姿が見え始める。
セシルは窓から顔を引っ込めて座りなおすと、目を閉じ軽く深呼吸した。
王城の前で馬車を降りたセシルを、ファラントの騎士達が出迎えた。
この場より、セシルの護衛はグリンダムの騎士からファラントの騎士へと引き継がれる。セシルは自分の手を引いていた近衛騎士隊長ジョルジュに目を向け、微笑んだ。
「今まで有難う、ジョルジュ。
ラルフとカインのこと、よろしくね」
「、、、はい。
姫様も、、、どうかお幸せに」
そう言った隊長の顔は少し苦しげで、内に秘める彼の想いがうかがい知れる。
セシルはそれに気付かないふりをして「有難う」とまたにっこり微笑んだ。
そして手を離す。
背を向けて歩いていくセシルの姿をジョルジュはただ眺めていた。
ゆっくり遠ざかる背中。
日の光の中、自国の姫はまるで自身が光を放つかのように神々しく見える。
ジョルジュはその背中に向かい、ゆっくり深く一礼した。
侍女達は第一王子の婚約者のために用意された立派な部屋を整え、花を飾る。
厨房では夜に開かれる歓迎の宴のための準備が早くも始められている。
そんな中、グリンダムの馬車が城門を超えたという知らせが国王のもとへ届いていた。
城門をくぐり、石畳の広い道を奥へと進みながら、セシルは馬車の窓からそっと外を観察していた。
城へ続く道の両側には美しい庭がどこまでも広がり、花壇と並木で美しく飾られている。丁寧に手入れされたその庭はファラントの平和と豊かさを表しているように見えた。
やがて道の先に、ファラント王城の姿が見え始める。
セシルは窓から顔を引っ込めて座りなおすと、目を閉じ軽く深呼吸した。
王城の前で馬車を降りたセシルを、ファラントの騎士達が出迎えた。
この場より、セシルの護衛はグリンダムの騎士からファラントの騎士へと引き継がれる。セシルは自分の手を引いていた近衛騎士隊長ジョルジュに目を向け、微笑んだ。
「今まで有難う、ジョルジュ。
ラルフとカインのこと、よろしくね」
「、、、はい。
姫様も、、、どうかお幸せに」
そう言った隊長の顔は少し苦しげで、内に秘める彼の想いがうかがい知れる。
セシルはそれに気付かないふりをして「有難う」とまたにっこり微笑んだ。
そして手を離す。
背を向けて歩いていくセシルの姿をジョルジュはただ眺めていた。
ゆっくり遠ざかる背中。
日の光の中、自国の姫はまるで自身が光を放つかのように神々しく見える。
ジョルジュはその背中に向かい、ゆっくり深く一礼した。