グリンダムの王族
その頃ファラントでは、役目を終えたカインが城を出ていた。
結局クリスの前でリズの話は出さなかったが、それでも充分にカインはクリスの敵意を感じることができた。
「セシルも大変だ」
カインは独り言のようにつぶやきながらファラント王城を振り返った。
祝宴を終えたセシルは、王子を迎える準備を整えていた。
湯殿で体中を洗われ、白い絹の夜着を身にまとう。
その薄い夜着は腰紐のみで留められており、簡単に脱げる作りになっている。
やがて王子が来たという知らせを受け、侍女達は足早に退出した。
入れ替わるようにクリスが入ってくる。彼も同じような夜着姿だった。
静かになった部屋で、セシルはクリスと向かい合って立った。
2人はしばらく黙ったままお互いを見ていた。
クリスは相変わらずセシルを睨んだ状態で、不意に「悪いけど」と呟いた。
「お前に俺の子を産ませる気はない!!
ファラントにグリンダムの血なんて入れてたまるか!」
セシルが目を丸くする。
王子は言いたいことを言い切ったようで、くるりとセシルに背を向けると、足早に去って行った。
扉の閉まる音が聞こえる。
セシルは王子が出て行ったのを確認すると、ふぅっとため息をついた。
そして寝台に行くと、そこに寝転がる。
目はぼぉっと宙を見ている。
「私、何しに来たんだろ、、、」
思わず呟く。そして目を閉じる。
「、、、ね、、、。アラン、、、」
セシルの脳裏に優しい黒い瞳が浮かんだ。
セシルはそのまましばらくじっと目を閉じたまま、動かなかった。
結局クリスの前でリズの話は出さなかったが、それでも充分にカインはクリスの敵意を感じることができた。
「セシルも大変だ」
カインは独り言のようにつぶやきながらファラント王城を振り返った。
祝宴を終えたセシルは、王子を迎える準備を整えていた。
湯殿で体中を洗われ、白い絹の夜着を身にまとう。
その薄い夜着は腰紐のみで留められており、簡単に脱げる作りになっている。
やがて王子が来たという知らせを受け、侍女達は足早に退出した。
入れ替わるようにクリスが入ってくる。彼も同じような夜着姿だった。
静かになった部屋で、セシルはクリスと向かい合って立った。
2人はしばらく黙ったままお互いを見ていた。
クリスは相変わらずセシルを睨んだ状態で、不意に「悪いけど」と呟いた。
「お前に俺の子を産ませる気はない!!
ファラントにグリンダムの血なんて入れてたまるか!」
セシルが目を丸くする。
王子は言いたいことを言い切ったようで、くるりとセシルに背を向けると、足早に去って行った。
扉の閉まる音が聞こえる。
セシルは王子が出て行ったのを確認すると、ふぅっとため息をついた。
そして寝台に行くと、そこに寝転がる。
目はぼぉっと宙を見ている。
「私、何しに来たんだろ、、、」
思わず呟く。そして目を閉じる。
「、、、ね、、、。アラン、、、」
セシルの脳裏に優しい黒い瞳が浮かんだ。
セシルはそのまましばらくじっと目を閉じたまま、動かなかった。