グリンダムの王族
翌日の朝、近衛騎士隊はいつものように整列してジョルジュ隊長を迎えた。
そして彼の口からシャナンの街の山賊について調査するようにとの将軍の指示が伝えられた。
「ギルバード」
ジョルジュが赤毛の騎士を見る。
ギルバードが「はい」と返事をした。
「もともとお前からの報告だ。
お前の隊に調査を任せる」
ジョルジュの言葉にギルバードは、「かしこまりました」と言って敬礼した。
ジョルジュは頷くと、その目を移動させた。
「アラン」
目を向けられたアランが「はい」と返事をする。
「今日はライラに視察に向かう。同行しろ」
「かしこまりました」
そう応えるアランを、ギルバードはちらりと横目で見た。
ジョルジュは明らかにアランを一番信頼していると見える。
近衛騎士隊長という地位を得るにあたり邪魔になる人間は、当然隊長本人。
そして次期隊長候補となっている、アラン・デイクライト。
この2人である。
他の隊の隊長は候補として挙がってくる可能性はない。
今回の山賊事件を起こしたのは、ゴードの兵士だった。
ギルバードが指示を出して襲わせた。
彼の頭の中では、近衛騎士隊長の座を得るためのシナリオが少しずつ進行していた。