グリンダムの王族
墓荒らし
ファラント王国では、その後騎士達に紛れて王子妃が剣を振るう姿が日常になりつつあった。
若い騎士や騎士見習いを相手にしては、時折彼らに指導している。
美しい剣士である王子妃は、騎士達の密かな憧れの的だった。
「クリス王子が羨ましいな、、、」
そんなことを呟く者も居る。
だが実際のところ、クリスとセシルは婚儀から1ヶ月経過した今も、その距離感は全く変わっていなかった。
不覚にもクリスに対して弱味を見せてしまったあの日以降、セシルは何かが吹っ切れたように、クリスに対して何も言わなくなった。
もともとあまり顔を合わせることもなく、相変わらずお互いの部屋への行き来もない。
結婚をしてはいるが、一人の毎日だった。
そんな日々の中、騎士達と稽古をする時間だけがセシルの楽しみだった。
騎士達から国の状況を色々聞くことができる。
「最近、前王の墓が何者かに荒らされた形跡を見つけました」
ある日の休憩中、セシルは近衛騎士隊長レニアスからそんな話を聞いた。
「荒らされた形跡、、、」
セシルはそう呟くと、「そんなに目立って色々盗られたわけじゃないの?」と聞いた。
「被害の詳細はまだ分かりませんが、
入り口を暴いたことは間違いないと思われます」
セシルは「入り口を、、、」と言いながら髪をかき上げる。
彼女のクセのない綺麗なブラウンヘアに、白い指が通る。
さらりとゆれる髪に、レニアスは思わず息を呑んだ。
若い騎士や騎士見習いを相手にしては、時折彼らに指導している。
美しい剣士である王子妃は、騎士達の密かな憧れの的だった。
「クリス王子が羨ましいな、、、」
そんなことを呟く者も居る。
だが実際のところ、クリスとセシルは婚儀から1ヶ月経過した今も、その距離感は全く変わっていなかった。
不覚にもクリスに対して弱味を見せてしまったあの日以降、セシルは何かが吹っ切れたように、クリスに対して何も言わなくなった。
もともとあまり顔を合わせることもなく、相変わらずお互いの部屋への行き来もない。
結婚をしてはいるが、一人の毎日だった。
そんな日々の中、騎士達と稽古をする時間だけがセシルの楽しみだった。
騎士達から国の状況を色々聞くことができる。
「最近、前王の墓が何者かに荒らされた形跡を見つけました」
ある日の休憩中、セシルは近衛騎士隊長レニアスからそんな話を聞いた。
「荒らされた形跡、、、」
セシルはそう呟くと、「そんなに目立って色々盗られたわけじゃないの?」と聞いた。
「被害の詳細はまだ分かりませんが、
入り口を暴いたことは間違いないと思われます」
セシルは「入り口を、、、」と言いながら髪をかき上げる。
彼女のクセのない綺麗なブラウンヘアに、白い指が通る。
さらりとゆれる髪に、レニアスは思わず息を呑んだ。