グリンダムの王族
墓に入れるのはセシルとクリスだけとなる。騎士達を外に残し、2人は内部へ続く階段を下りた。

クリスがランプを手に黙って先導する。
セシルも黙ってそれについていく。

内に篭るまとわりつくような空気と、独特な臭いが鼻につく。
セシルは片手で口元を覆った。

そして地下にたどり着くと、長い廊下を進んで行った。

やがて一番奥の部屋にたどり着いた。そこは想像より広い部屋だった。

奥にある大きな箱が、棺なのだろうと思える。
その箱からして金細工がほどこされ、そうとう高価そうだ。

クリスはじめじめする墓の内部の空気にちょっと顔をしかめた。
そして棺に手をかけてそれを開けようとする。

「手伝うわよ」

セシルは言いながら棺に手をかけた。

クリスは少し考えたようだったが、「反対側を持ってくれ」と言いながら端へと行った。

セシルは言われた通りクリスとは反対の端に移動する。
そして蓋の両側を2人で持つと、それを持ち上げた。

「、、、この中に財宝があるの?」

「棺にはとりあえず入ってる」

クリスが答える。
ぶっきらぼうだが、意外に普通の受け答えをしている。
セシルはそんなクリスを意外に思いつつ棺を覗いた。

王の遺体は棺の中にある、人型の棺に入っているようだ。
その周りを囲うように、確かに財宝が敷き詰めてあった。

クリスはそれをじっと見ている。

「、、、減ってる?」

セシルの問いかけに、クリスは首を振って「分からない、、、」と答えた。
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