グリンダムの王族
幼い頃から剣を習い、あまりに身近に居すぎて初めのうちは部屋に誘うことなど思いつきもしなかった。
けれどもあまりに周りの騎士がふがいないので、そんな愚痴をもらしたところ、

「それは情けないですね」

と言って笑ったので、ものは試しに誘ってみたのだ。

アランは常に自分に仕える騎士としての礼儀を守りつつ、
セシルを抱くときだけはただの男になってくれる。

そんな2面性が、セシルを飽きさせない点かもしれなかった。



「、、、ファラントの王子、可愛い坊やだった」

すっかり満足したセシルは、横になっているアランの胸の上にうつぶせに乗っかるようにして話しかけた。

アランはクスッと笑った。

「それは、、、良かったと申し上げればよろしいのでしょうか?」

アランの言葉にセシルはため息をつく。

「良くないわよ」

セシルはそう言うとアランの胸にコテンと頭をのせる。「アランみたいな人、あっちで見つかるかなぁ」

アランはその言葉に目を丸くすると、

「セシル様。ファラントでは、このようなことは謹んで下さい」

と言った。

セシルは驚いたように顔を上げてアランを見た。

「なんで??」

アランはその言葉にちょっと困ったように顔をしかめる。

「当然です。これはグリンダムだからこそ、許されていることです」
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