グリンダムの王族
「アレクサンドル王、すぐにカレフの領主に話を聞くべきだと思います。
税の徴収は領主を介して王都に届いていると思いますので、カレフからの納税額が例年と変わっていないなら、増税を偽って、途中で搾取している人物が居る可能性があります」
アレクサンドル王は呆然とセシルを見ていたが、隣に立つ宰相を振り返ると、
「すぐ手配しろ」
と指示した。
宰相は「かしこまりました」と言って頭を下げた。
「予想通りだったのか?」
広間を出て並んで歩きながら、クリスが聞いた。
「全然。なんか大きな話になりそうね」
セシルが答える。
そして、
「2年近く気づかれずに済んだ原因をはっきりさせないと、、、」
と、独り言のように呟く。
クリスはじっとセシルを見ている。
セシルはその視線に気づくと、
「、、、でもそれは私の仕事じゃないんだから、”妃が言ってた”っていうのは止めてよ」
と、慌てて言った。
「、、、俺が王に言う」
クリスが言った。セシルが驚いて目を丸くした。
クリスが足を止める。セシルもつられて止まった。
少しの間、2人は何も言わずにお互いを見ていた。
「今回のことに関しては、、、」
クリスはそこまで言って言葉を切ると、セシルから目を背けて俯いた。
「一応礼を言っておく」
そして、「じゃぁな」と言うと、呆然とするセシルを置いて足早に去っていった。
セシルはそんなクリスの背中を、しばらく見送っていたが、
「、、、気持ち悪い」
と、ぼそっと呟いた。
税の徴収は領主を介して王都に届いていると思いますので、カレフからの納税額が例年と変わっていないなら、増税を偽って、途中で搾取している人物が居る可能性があります」
アレクサンドル王は呆然とセシルを見ていたが、隣に立つ宰相を振り返ると、
「すぐ手配しろ」
と指示した。
宰相は「かしこまりました」と言って頭を下げた。
「予想通りだったのか?」
広間を出て並んで歩きながら、クリスが聞いた。
「全然。なんか大きな話になりそうね」
セシルが答える。
そして、
「2年近く気づかれずに済んだ原因をはっきりさせないと、、、」
と、独り言のように呟く。
クリスはじっとセシルを見ている。
セシルはその視線に気づくと、
「、、、でもそれは私の仕事じゃないんだから、”妃が言ってた”っていうのは止めてよ」
と、慌てて言った。
「、、、俺が王に言う」
クリスが言った。セシルが驚いて目を丸くした。
クリスが足を止める。セシルもつられて止まった。
少しの間、2人は何も言わずにお互いを見ていた。
「今回のことに関しては、、、」
クリスはそこまで言って言葉を切ると、セシルから目を背けて俯いた。
「一応礼を言っておく」
そして、「じゃぁな」と言うと、呆然とするセシルを置いて足早に去っていった。
セシルはそんなクリスの背中を、しばらく見送っていたが、
「、、、気持ち悪い」
と、ぼそっと呟いた。