グリンダムの王族

ジョルジュの最期

グリンダム王国では、シャナンの街に現れた山賊の調査が行われていた。
ギルバードと彼の率いる騎士達が、シャナンでの被害者の話を集める。
今まで平和だった街でのその事件は、住む者達に大きな不安感を与えていた。

「5,6人は居たと思います。
あっという間に囲まれて、馬と一緒に荷物も持っていかれました。
顔は隠していたので、人相は分かりません」

話をしながら、男は思い出したように身震いした。

―――この程度の情報だろうな。

ギルバードは聞きながらそう思った。

こんな小さな街での山賊を多くの人間が目撃するはずもない。
だからこそ選んだ場所である。

ギルバードは、「で、襲われた場所は?」と続けて聞いた。



被害者の説明により、ギルバードは現場にやって来ていた。
情報を合わせると、被害の場所はもっぱらその場所だった。

”山賊の現れる場所”を特定して動くようにというのは、ギルバードの指示である。
ゴードの兵士達は指示とおり動いていると見える。

その場所は両側をやや高い壁のような崖に挟まれた道だった。
山賊はその崖の上から飛び降りるようにして現れるらしい。

両側の崖の高さは人の背の2倍程度。
上から見ていれば道を進む者の存在には気づきやすいし、道を進む者からすれば崖の上は死角である。

―――いい場所だ。

ギルバードは満足気に口角を上げた。

「現れる場所が決まっているなら、捕まえやすいな」

崖の上から道を見下ろしながらそう言い、後ろの騎士を振り返る。騎士は「はい!」と力強く頷いた。
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