グリンダムの王族
リズはカインの言葉にしばらく何も言わなかった。カインの目も彼女を見ない。

重い沈黙の後、リズの小さな声が聞こえた。

「はい。当然のことだと思います、、、」

カインは再び目を閉じ、苦笑した。
自分で聞いておきながら、なんて愚かな問いかけだろうと思う。
一体どんな答えを望んでいたのだろう。

「理想的な回答を、ありがとう、、、」

リズはそれ以上何も言わなかった。またグラスにお酒を注ぐ音が響く。

「俺はラルフにはなれそうもないな、、、」

カインが独り言のように小さく呟いた。
リズの手が再び止まった。

「、、、カイン様は、そのままでいてください」

カインはふっと笑みを漏らし、目を開けた。そしてリズを見る。
只1人の妃は、真剣な瞳で真っ直ぐ自分を見ていた。

「そうする、、、」

カインはそう言って体を起こした。
寝台の隣に立つリズの腕を掴むと、「おいで」と囁く。

リズはお酒のビンをサイドテーブルに置くと、素直に寝台に乗った。
カインはリズを引き寄せると、その頬に触れた。
そうしながら綺麗な亜麻色の瞳を見つめる。

「素直に溺れることにする」

その言葉の意味が分からず不思議顔のリズに構わず、カインは彼女の耳の下に手をもぐらせ、軽く引き寄せた。

リズは彼の動きに合わせるように、そっと目を閉じた。

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