グリンダムの王族
馬車を襲われた騎士達は苦戦していた。
敵は思ったよりも強い。情報とは違い人数も多い。

崖の上の騎士達はどうしているのだろうと思ったとき、上から人影が舞い降りてきた。

赤毛の騎士の姿に、戦闘中の騎士達が目を見張る。

「ギルバード様、、、!」

ギルバードの登場に、山賊の動きが一瞬止まった。
その隙をつくように、彼の剣が素早く舞った。

あれほど苦戦していた山賊相手に、ギルバードの剣は次々と彼らを打ち倒していく。騎士達もそれに加勢する。

ギルバードの手により、あっけないほど簡単に山賊は全滅した。

むせ返るような血の臭いに包まれながら、戦闘を終えた騎士達はしばらくその惨状を眺めていた。

やがて1人がハッとしたように崖の上を振り仰ぐ。

「隊長は、、、」

ギルバードは顔をゆがませ、「隊長は、、、やられた」と呟いた。

騎士達が目を見開いて固まった。
信じられないというようにギルバードを見ている。

「上にも6人居た。
それを反対側から見つけて駆けつけたんだが、間に合わなかった、、、」

ギルバードの目が自分の足元に転がった山賊達を見る。

「こいつらは俺がもともと居た方の崖から現れたようだな。
こんなに人数が居るとは思わなかった。
持ち場を離れたのは失敗だった、、、」

騎士達は何も言えずにギルバードを見ている。
ギルバードは改めて彼らを見ると、「すまなかった」と謝った。

「いえ、、、とんでもありません、、、」

そう返しながらも、騎士達はしばし呆然とその場に佇んでいた。

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