グリンダムの王族
「隊長は背後から襲われています。
彼は自分の背中を敵には決して見せません。そういう方でした」

アランはラルフの目を見ながらはっきりとそう言った。
ラルフは黙ってアランの言葉を聞いている。
アランは「それに、、、」と言葉を続けた。

「こちらが騎士を分散したのは分かりますが、山賊の方まで分散して現れた理由が分かりません。
彼らの目的は1つで、分散する意味はありません。」

ラルフは何も言わない。

「ギルバードの行動も腑に落ちません。
彼は隊長の居るところに山賊の姿を認めて急行していますが、もと居た場所に騎士を1人残して行っています。なぜ連れて行かなかったのか不思議です。
結果として、騎士は山賊に殺されました。
また、彼は山賊を全滅させていますが、なぜ1人でも生け捕って来なかったのかと思います。
全滅したことで、山賊の出所などの謎が残りました」

王が何も言わないので、アランは一気に言いたいことを吐き出した。
そして口を閉じた。

ラルフは彼が話を終えたことを確認すると、ふっと笑みを漏らした。

「アラン」

ラルフが口を開いた。アランは「はい」と応えた。

「私は次期近衛騎士隊長に、ギルバード・フォートを指名するよう将軍に言うつもりだ」

アランは彼の言葉に少し間をおくと、「はい」と応えた。

ラルフは笑みを浮かべながら、「この意味が分かるか?」と聞いた。

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