グリンダムの王族
カインは顔を上げると、「またな」と言った。
今ここで詳細を話すことはできないらしい。

カインはちらりとアランの方に目を向けると、「、、、話す?」と聞いた。

セシルは首を横に振って応えた。

カインはそんな妹に優しく微笑むと、「お前は偉いよ」と呟いた。

セシルの目がカインを見る。カインの手が妹の頭を優しく2度叩く。

彼は「元気でな」と声をかけて馬車へと向かった。

カインの背中を見送って、セシルの目は自然とアランに向けられた。
アランもセシルを見ている。
その目を見るだけで、涙が出そうな自分にセシルは戸惑った。

―――いつからこんなに弱くなったんだろ、、、。

セシルはそう思いながら目を伏せた。

ゆっくりとファラント城から去っていくカイン達の気配を感じながら、セシルはもうその目を上げることはできなかった。

< 184 / 265 >

この作品をシェア

pagetop