グリンダムの王族
「セシル!」

言いながら抱きついてきた。その勢いで寝台に倒れこむ。少し前にもこんなことあったな、とセシルは思い出して苦笑した。
まさかあの時からクリスは自分を好きだったのだろうか。

―――えぇ~??

まったく信じられない、、、。

クリスが顔を上げると、セシルの唇に唇を重ねた。
自分の欲望を勝手にぶつけるようなキスに、セシルは目を閉じながらも顔をしかめた。
唇が離れると、セシルは「ちょっと待って」と言った。

「やだ」

クリスが即座に言う。またそれかと思いつつ、

「いや、ダメってことじゃないんだけど、
ちょっと混乱してるから話をさせて」

と言ってみる。

クリスがじっとセシルを見ている。体をどかす気はないようだ。

「、、、私のこと、許さないんじゃなかったっけ?」

セシルが問いかける。

「別に、許さないといけないことしてないだろ、何も」

クリスは平然と答えた。

―――その通りよ!!

セシルは心の中で叫んだ。なんだか頭が痛くなる。

「それはよかったけど、、、。
どうして突然”好き”まで飛躍するの?」

セシルが聞いた。クリスはじっとセシルを見つめている。

「理由なんか、ない」

話になりそうもない。
セシルはため息をつくと、「分かった」と言った。
そして目を閉じる。

「じゃぁ、どうぞ」

その言葉にクリスは迷い無く、セシルの夜着の腰紐を引っ張ってほどいた。

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