グリンダムの王族
将軍から、ギルバードを次期近衛騎士隊長に就任させるという報告があったのは、翌日のことだった。

アランの隊の隊員は、彼らの隊長が近衛騎士隊長に選ばれなかったことに関して多少不満があったようだが、実際文句を言うものは居なかった。

ギルバードは、「謹んでお受けいたします!」と言って頭を下げた。

「すぐに就任式がある。そのつもりでいろ」

「了解いたしました」

ギルバードは内心驚いていた。
自分が選ばれる可能性はあったが、昔から城で仕えているアランが結局隊長になるだろうとも思っていた。
だからこそアランをどう消すかを考えなくてはならないと思っていた。

立て続けでは怪しまれるのでもうしばらく時間がかかる予定だったが、思いのほか早く目的を達することができた。

―――いや、これはまだ途中だ。最終目的まではまだ先がある。

自分自身に言い聞かせる。
けれどもその終点は見えてきた。

ギルバードはそっとアランを盗み見た。

彼は特に表情を変えずに、じっと前方を見ているだけだった。

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