グリンダムの王族

ラルフの計略

その後、近衛騎士隊長ギルバードは、特に問題なく日々任務を遂行していた。

今までラルフと直接会う事はない立場だったが、隊長となった現在は、王へ直接報告のため謁見する。

今日もギルバードは王の部屋でライラ視察の報告をしていた。

「住民の生活は安定してきています。
農地もほぼ修復できました。
ラルフ様の対応に、住民は感謝の意を示しておりました」

ギルバードの金色の瞳が真っ直ぐラルフを見据えている。

ラルフはその視線を受け止めながら、「ご苦労だった」と言い、椅子から立ち上がった。
そしてギルバードに歩み寄る。

ギルバードは自ら近付いて来る王に多少戸惑いつつ、彼の動きを目で追っていた。

「板についてきたな、ギルバード」

王はそう言って切れ長の目を細めた。

「恐れ入ります」

ギルバードが頭を下げる。
国王の気配を間近に感じながら。
こんなに近くに王が居る。

なんと無防備なのだろうか。今すぐにでも、その命奪うことは、たやすい。

―――時期は近い。

そう感じていた。

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