グリンダムの王族
宿の前で見張りをしていた騎士は、夜風を感じながら交代の時間を待っていた。
平和な街は、闇と静寂に包まれている。
何も起こりそうはない。いつものことだが、ただ立っているだけの時間に終わりそうだった。
「、、、おい」
不意に彼の背後から声が聞こえた。
その声に振り返った騎士は、そこに立っている人物を見て固まった。
「、、、ラルフ様、、、!!」
そこに居たのは彼の主君、ラルフ王だった。
手に血のついた剣を持っている。
彼の体も返り血に濡れている。騎士はその姿に凍りついたように固まって立ち尽くした。
「、、、ギルバードが私の暗殺を謀ったため、処刑した。
死体を始末しろ」
ラルフ王は静かにそう言った。
騎士はその言葉が聞こえてはいたが、しばらく固まったまま動けなかった。