グリンダムの王族
王は直ちに軍議を開くと指示をして城に入って行った。
将軍や騎士達もそれに続く。

その背中を見送り、セシルの目が改めて兄を見た。

「、、、確かな証拠、掴んだの?」

声を落として問いかける妹に、カインはちらりと視線を投げた。

「今頃掴んでると信じてる」

セシルはその言葉に目を丸くした。
クリスも隣で驚いたような表情を見せる。

「全くの勘違いで攻め込む可能性もあるわけ?」

セシルが呆れたように聞いた。

「お前がファラントを戦場にするなとか言うからだろ?」

「まぁね、、、。
言ったけど」

確かに確かな証拠を得るためにはギルバードの動きを誘うしかない。

そしてそれをするということは、ゴードも動かすことになる。
先に軍を進められたら、グリンダムの同盟国であるファラントが戦火に包まれるのは目に見えていた。

「ファラント軍は誰が指揮するんだ?」

言いながらカインの目がクリスを見る。
クリスは突然な質問に、「え、、、」と声をあげた。

「クリス王子が引いて行くのかな」

カインが重ねて尋ねる。
クリスは目を見開いて固まった。

確かに軍を率いる王族といえば、王でないなら自分になる。
クリスはその現実を今初めて認識していた。

「私が行くわ」

突然隣のセシルが言った。クリスはその言葉に驚いたように目を見張る。

「だめだ!」

「行くわよ。
じっとしてなんていられないもの」
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