グリンダムの王族
平然とそう言う彼女に、クリスは顔をしかめた。そして首を振る。

「だめだ、危険だ。
戦場なんだぞ」

そしてカインを見ると、「俺が行く」と言った。

カインはそんなクリスの真剣な目に、ちょっと意外そうに眉を上げた。

「そうだな、、、」

カインは少し考えると、

「まぁ、後から来るアランと相談する」

と言った。

セシルはその言葉に少し固まった。



数日の間をおいて、軍の最後尾についていたアランがファラントに到着した。
それによりカインが率いるグリンダム軍は全てファラントに集結した。

その頃には、ファラント軍の方も、出陣の準備を整えていた。

ファラント城の前庭に整列したファラント軍とグリンダム軍を前にして、
カインは馬に乗ったまま彼等の前に立った。アランも馬に乗った状態で、カインの隣後方に居る。

カインの目が全員を見回し、「これからゴードへ進軍する!」とよく通る声で宣言した。

「ゴードの国境を越えるのは明日の夜になる。
森を通って進み、ぎりぎりまで見張りの死角を通る。
攻撃は深夜開始の予定だ」

ファラント軍の騎士達は全員緊張の面持ちで、落ち着かない様子だった。

平和なファラントでは実際に戦地に赴くのは初めてに違いない。
カインはちらりとアランを見た。

「、、、ファラント軍の士気が低いが、大丈夫か?」

アランはふっと笑みを漏らすと、

「ファラント軍は実際戦闘に参加することはありません。
敵を威圧するための人数稼ぎです」

と言った。

カインは納得したように頷いた。
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