グリンダムの王族
雪崩れ込むように、城内にファラント軍も突入して来た。

突然数を増した敵に、ゴードの兵士達が一瞬ひるむ。
全員手を止めて城門を見た。

そしてそれと同時に、城の後方からおびただしい蹄の音が聞こえてきた。

それに気付いた兵士達が振り返る。
突然、城の後方から新たな軍隊が現れた。
次々と前庭に辿り着く。

急に膨れ上がったその軍隊の数に、ゴードの軍は完全に動きを止めた。

城内の窓から覗いていた将軍も目を見張る。
そして同時に、彼も初めてその軍の正体に気付いていた。

静かになったゴード王国城の前庭に、軍の間をぬって馬に乗った男が進む。

戦いの手を止めていたアランの目が、彼の姿をとらえた。

「ラルフ様、、、」

ラルフがゆっくり前に進み出た。

「グリンダム国王だ!!討て!!」

将軍が上から叫んだ。その声を遮るように、ラルフが右手を掲げた。

その手に持っているのは人の首だった。
髪をつかむようにして高く掲げる。

「―――ガルバ王だ」

ラルフのよく通る声が前庭に響いた。
同時のその手から首が放り投げられる。
ゴードの兵士の中に、ガルバ王の首が転がった。

将軍がそれを見て声を失う。
兵士達も皆、凍りついたように固まった。

ラルフは一呼吸おくと、再び高らかに宣告した。

「―――降伏しろ。
そうすれば王族以外の命は助けてやる」

ゴード王国城は、戦乱の前のようにまた不気味な静けさを取り戻していた。
< 251 / 265 >

この作品をシェア

pagetop